INTERVIEW

南米、チリで世紀を超える
巨大プロジェクトに向き合う。

佐藤 優輔YUSUKE SATO

金属本部 銅鉱山事業部
社会学部 | 2008年卒 ※所属部署は取材当時のものです

MY CAREER

2008年
非鉄金属部 非鉄原料課
2013年
非鉄金属部 プロジェクト第二課
2013年
MARUBENI LP HOLDING B.V.(チリ:オフィス勤務)
2015年
Minera Centinela社 出向(チリ:サンチャゴ オフィス勤務)
2016年
Minera Centinela社 出向(チリ:鉱山現場事務所勤務)
2018年
MARUBENI COPPER HOLDINDS LIMITED(チリ:オフィス勤務)
2019年
銅鉱山事業部 プロジェクト課

丸紅に入社を決めた理由を教えて下さい

大学時代に留学した豪州で世界各地出身の友人ができ世界の広さを肌で感じ、この広い世界を舞台に活躍してみたいと思ったのが商社への入社を志したきっかけです。中でも丸紅に惹かれたのは、入社している先輩から、自由闊達な文化であること、若いうちからチャレンジさせてくれる環境であることなどを聞き、ここならば自分のやりたいことを見出し、自分の力を試せると思ったからです。実際に入社直後から色々な仕事を任せてもらい、チャレンジできる環境にあります。

チリでの駐在員としての経験について教えて下さい

入社5年目でチリに駐在しました。始めは出資した鉱山会社の株主であった現地の事業会社で、鉱山会社の役員会に出席し、鉱山会社やパートナーの経営陣と最前線で折衝を行いました。その後鉱山会社へ出向、経営企画部配属となり3年勤務し、予決算やコスト管理などの管理会計業務を行いました。特に後半2年間は片道6時間かかるアタカマ砂漠の中にある現場キャンプに泊まり込みの常駐勤務となり、濃密な時間を過ごしました。
出向先では株主の代表者としてみられますし、一人のプロフェッショナルとして価値を発揮しなければなりません。鉱山会社の社員は2,000人ほど、チリ人が大多数を占めるコミュニティの中に日本人は3人、スペイン語で一から自分で仕事を切り開いていくという経験は、人間としても大きく成長できる機会となりました。

もともと鉱山の技術やスペイン語について
学んでいたのでしょうか?

大学の専攻は社会学でしたので、鉱山とは全く関係がありません(これは海外の方からするとあり得ないことです)。大学時代の豪州留学の思い出から「豪州で働けるかも」という軽い(?)気持ちで当時の金属資源部門を志望した結果、地球の裏側で、スペイン語で仕事をすることになりました。もともと海外の企業で働きたいという希望があったので、かなり特殊な環境ではありましたが、その夢がかないました。
鉱山に関する知識は入社後に諸先輩方に鍛えて頂きましたが、若いうちから現場に行かせてもらい、実際に見て学ぶことが貴重な経験となりました。巨大な重機や採掘ピット、轟音の破砕設備などは体感しないと分かりません。もちろん実地以外でも、社内外の研修などは十分用意されており、1年も働けば鉱山用語を使いこなせるようになります。私の場合は、現場での叩き上げでスペイン語を習得しましたが、短期・長期の語学研修制度もあります。

これまでの仕事について教えて下さい

入社以来ほぼ一貫してチリ銅鉱山プロジェクトに関わってきました。丸紅がセンチネラ銅鉱山の権益を取得したのが、私の入社年である2008年。金額にして2000億円、当時、丸紅としても、総合商社の銅鉱山への単独出資としても過去最大規模で、配属の1週間前に新聞の1面に大きく掲載されたのをよく覚えています。配属されたトレードの課での初仕事が、鉱山で生産される銅精鉱の販売契約を締結することでした。
その後事業投資管理業務を経てチリに駐在、現地事業会社、鉱山会社出向を経て昨年約6年弱駐在したチリから東京へ戻りました。現在は現場経験を活かして東京からチリの出資銅鉱山の経営、投資管理を担当しています。具体的には鉱山の拡張・設備更新に伴う追加投資検討の経済性評価、操業改善策の検討、ファイナンス面の折衝・サポートなど。センチネラ銅鉱山は6ケ所のピット、3ケ所のプラントで操業する大規模なもので、日々多くのことが起こります。大規模であるためその一つひとつが丸紅本体に与える影響も大きく、30%の株主として正しい経営判断、意思決定が行えるように精査しています。

プロジェクト管理とは具体的に
どのようなことをするのですか?

丸紅は30%を保有する株主としてパートナーと鉱山会社を運営しており、先述の通り操業上の重要な意思決定に関わっています。また投資管理という観点からも、鉱山は生き物であり相手は地球、掘っている場所によって生産量もコストも大きく変わります。操業計画の修正は日常茶飯事で、日々変わる操業の実態を把握し、計数管理に落とし込んでいきます。その過程で、課題を把握し、パートナーや鉱山会社に操業改善の問題提起・提案や新技術やテクノロジー採用の働きかけなどもしていく。このように操業の改善にも丸紅が主体となってハンズオン※で取り組んでいます。
最前線の鉱山会社には、私のような経営企画・財務エリアで計数管理する社員に加え、地質や採鉱、選鉱などに関する技術的な知見を有した丸紅社員も勤務しています。
銅鉱山の経営は、現地事業会社でパートナー、鉱山会社と折衝する人、現場のオペレーションで課題を探し改善する人、東京から全体の管轄を行う人など、グローバルに組成されたチームで行います。大型資源案件はどうしてもM&A成立の瞬間が注目されがちですが、日々のオペレーションにも我々は深く入り込んで貢献している自負があります。 ※現場の経営・操業に深く関与すること

現在力を入れている取り組みを教えて下さい

一つの鉱山で採掘できる銅には限界があり、それを「山命」と言います。我々が現在操業しているセンチネラ銅鉱山の山命は2060年頃。丸紅は周辺一帯をパートナーと共同開発していく方針であり、周辺エリアの開発を含めるとプロジェクトは22世紀まで続く大規模・長期のプロジェクトになります。この100年単位の長期にわたり鉱山事業の価値を最大化していくことが、私たち銅鉱山事業部のミッションです。
また他の産業と同様に、鉱山でもデジタルトランスフォーメーションの変革期にあります。鉱山トラックの無人化や操業の遠隔管理など、ゲームチェンジャーとなりうる新しい技術がまさに導入されるタイミングであり、丸紅の出資する他鉱山のベストプラクティスの共有も行い株主としての立場から積極的に提言を行っています。
今後、電気自動車の普及や世界各地の都市化の進展で、ベースメタルと呼ばれる銅の需要は確実に増加する一方、供給源は限られています。我々はその供給者であり、産業や電化社会を支える一翼を担っているという自負をもって、業務に取り組んでいきます。

After Work

小学生からサッカーを始め、高校ではインターハイに出場。駐在先でも現地の社員たちとプレーし、中でも砂漠の星空の下で現場社員とやったサッカーは思い出深いです。キャプテン翼はチリでは「オリベル」と呼ばれています。

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