Person

「攻めの法務」が、
ビジネスを加速させる。
だから諦めない、くじけない。

総合職
森 日路奈
育児休職者
取材時:本社管理法務部
法務第四課

ブランドでも商品でも技術でもない。
個々人の「人間力」がビジネスを創り上げていく。

粘り強く真摯に接すれば、言語や文化の壁も超えていける、一個人が持つ「人間力」で人やモノを動かし、世界を変えていくことができる ―この留学での体験が、総合商社の世界へ自分を導きました。総合商社は基本的に自社製品を持たずに様々なビジネスから収益を生み出しています。その根源こそが「人間力」。個々人のスキルやアイディア、そして魅力でもって関係を構築しビジネスを創り上げることに強く惹かれたのです。

私は入社以来、一貫して法務の仕事に携わっています。法務の守備範囲はとても広く、その業務は、コモディティの売買取引から大型投資・M&A案件まで様々。それらに関する法律調査・取引スキームの検討・契約書作成や交渉、訴訟・仲裁対応、倒産・トラブル対応、株主総会・取締役会対応や内部統制等、多岐にわたります。その中で私の主な役割は、「攻め」と「守り」、両方の視点から営業及び会社を支援すること。担当業務の中で最近特に多いのがM&A等の投資案件です。一口にM&Aといっても、その手法だけでも株式・資産売買、合併、会社分割など様々。もちろん国によって制度も異なります。また会社の運営方法から税務、人事労務、買収後の統合作業等、検討課題は多岐にわたります。その一つ一つについて、営業との対話の中から情報を収集し、理解し、法律知識・経験を駆使しながら想像力を働かせる。すると、どのようなスキームや契約条件がその投資目的の実現のために最適かなどが見えてきます。社内で把握しきれないリスクについては外部弁護士にアドバイスを求め、法務デューデリジェンス(投資対象の適格性やリスクの事前評価)等も行います。これら全てが、買収後の丸紅グループの収益拡大(攻め)とリスクのヘッジ(守り)に向けた作業であり、営業と一体となって案件を支援していきます。

法務部の人間は法律文献や契約書の字面だけ見ていると思われがちですが、何よりも大切なのは現場で起きていることの理解と想像力。法律や契約書はあくまでビジネスを実現するための手段です。一般的に法務というと牽制機能を効かせた「守り」のイメージが強いと思いますが、同時に「戦略法務」としての機能もフル活用してビジネスを加速させ、企業価値を高める意思決定のサポートを行う、いわば「攻めの法務」も非常に重要な役割の一つなのです。

国内LPG事業のM&A案件、
紳士で粘り強い交渉が生んだ達成感。


様々なM&A案件に携わってきた中で、入社5年目に担当した国内LPG事業の統合案件は、強く印象に残っています。その案件はLPG供給会社2社が統合し、新会社を設立するというもの。1社は国内大手のLPG事業者(A社)で、もう一方は丸紅とB社が出資しているLPG事業会社。初めて案件初期段階からクロージングまで密に関与し、統合後の事業運営まで配慮した戦略立案や度重なる契約交渉の場にも参加しました。

もちろん、すべてが順調に進んだわけではありません。関連する3社の間では、新会社の設立という目標は一致していますが、当然そこには利害も発生します。マイノリティ出資者となる当社は、何らかの手を打たなければ、A社、B社の意思が優先され、新会社での発言権を奪われかねません。新会社の意思決定や決議にどこまで食い込めるか、株主間契約の条件を巡って交渉は長期化しました。しかし、「粘り強く真摯に向き合えば道は必ず開けるはず」。その一心で交渉に臨んでいるうち、気づけばA社・B社の信用・理解を得られる場面が増えていき、最終的に条件を勝ち得て無事に案件クローズを迎えることができました。それは、まさに留学時代に培われた自らの信念が活きた瞬間でした。

法務部員として大切なことは、現場や営業の立場をよく理解し、同時に現場に惑わされぬ強い信念をもって臨むことです。この経験はその後の海外M&A実務においても活かされています。経営の意思決定に直結しうる立場であるからこその緊張感と、商社ビジネスのダイナミズムや情熱、その両方を実感できるところに法務の仕事の醍醐味があると感じています。

世界に通ずる、
一流の企業法務パーソンを目指して。

あれは入社7年目の秋のこと。私はオーストラリアの法律事務所にて実務研修を行いました。期間は1年。主に日本や韓国を中心とした海外企業の豪州投資案件のデューデリジェンス、交渉契約等のサポート、各種法令調査などの実務に就きました。初めて丸紅以外の場所で、海外の人に囲まれた環境での勤務、毎日が試行錯誤ながら新鮮で充実した時間でした。語学力に磨きをかけられたこと、弁護士実務の理解が深まったこと、客観的に当社を見て新たな視点を得られたことなど、成長の大きなステップとなる得難い経験でした。

法務の仕事においては、営業から頼られ感謝されることが少なくありません。その過程においては牽制的な立場から営業と意見が対立することもしばしばありますが、結果的に感謝され会社の利益にも通じること、そのやりがいの実感が、私にとっての前進する力です。今後は、法律知識はもちろんのこと、「対話力」、「交渉力」、「理解力」、そして物事を的確かつ柔軟に把握し予測する「想像力」にも磨きをかけていきたいと考えています。そして、攻めの姿勢を崩さない営業支援、最後の砦となる牽制機能、そのバランスと変化への柔軟性を兼ね備えた、世界に通ずる一流の企業法務パーソンになるのが目標です。

My Roots

イギリスへの留学で感じたこと。人は誰でも「一個人」。

大学時代にイギリスへ留学しました。イギリス人と一言でいっても、当然ながら個々人でまったく異なる性格を持ち、実際に話してみるとむしろ日本人よりもわかりあえる人もいるほど。そこで気付いたのは、人間はあくまで「一個人」であるということ。人と関わるとき、国籍や人種の枠組みや固定観念、先入観をもって判断するのではなく、常に「個」として接する大切さ、粘り強く対話し理解し合う素晴らしさを、改めて痛感しました。この経験が、今の仕事のベースにもなっています。

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