Person

自らの流儀で広く、深く、
知見を研ぎすます。
すべてはこの世界トップを目指すために。

総合職
古川 貴浩
金属資源本部 非鉄金属原料部 非鉄地金課 課長
取材時:非鉄地金・原料部 銅地金課

暗中模索の日々…
故に見つけた自分なりの闘い方。

「商社ビジネスにとって最も重要なのは情報と知識」。古川の信条だ。そしてそれを磨いていくプロセスは、そのまま古川のキャリアステップとも重なる。
始まりは、入社後すぐに放り込まれた銅・亜鉛トレードの最前線。世界の需給を睨みながら、亜鉛の買いから売りまでの責任を持ち、利益を上げていく。担当は課長、先輩、そして古川のたった3人。「英語の使い方から売り先の探し方、価格交渉のやり方、船積みの受け渡し業務まで、何もかも暗中模索の中、教育係だった先輩のインストラクターに厳しく叱責されながら、必死に業務に食らいついていきました」。しかし、要求レベルにはなかなか追いつけない。古川は悩んだ末に一つのやり方を見出す。それは、“世界中”の亜鉛情報を咀嚼し、独自の考察を加えて資料としてまとめ、全てを知識として吸収することだった。「先輩の猛烈な仕事ぶりに驚嘆し、同じやり方では追いつけないと気づきました。自分には自分のやり方があるはずだと」。
このときから、圧倒的な「情報と知識」を身に付け闘う古川流商社ビジネスがスタートした。

利益3倍増の一翼を担う。


苦しみながら、自らの流儀を貫く日々。そして1年目の終わりに、できる限りのことを授けてくれた先輩が海外赴任で異動となる。古川に残していった言葉は「これからは、おまえが課を引っ張れ」。古川の苦闘ぶりをじっと横で見守り続けた課長は2年目以降、その言葉に呼応するかのように古川を信じ案件を任せた。
膨大な業務に追われる一方で、“世界中”の亜鉛情報をまとめた資料づくりの手は止めなかった。忙しい時間をぬって資料をまとめる、このやり方にはきっと意味がある、古川はそう信じていた。すると、少しずつだが、ビジネスが好転し始めた。自分が得た貴重な知識を取引先にも提供することで信頼関係が生まれ、ビジネスのパフォーマンスが向上し始めたのだ。着実に実績を積み上げ、入社から6年。亜鉛の利益は3倍へ伸び、古川は丸紅の亜鉛ビジネス急成長の一翼を担う重要な存在となっていた。
仕事のイロハを叩き込んでくれた先輩と、自分を信じ続けてくれた課長。「その2人が商社パーソンとしての私の礎をつくってくれた」。古川は想いを込めてそう語る。

米国で学んだこと、それは臆せず向き合えるという自信。


入社7年目、古川は米国のデトロイト支店に赴任し、29歳にしてマネジメントを担う立場になった。部下はすべて年上の米国人。若造扱いで、ビジネスの流儀も違う。そんな中、どうイニシアチブを取れば、自分が信用されるのか? 再び迎えた試練。古川が実行したのは部下が中長期的な方針もなくそれぞれの思いつきでビジネスを行っていることに対する改善だった。「ビジネスのまとめ資料を自ら作って、業務上の問題点と課題を指摘しアドバイスする。これを繰り返しました。すると、そのアドバイスの有効性が信頼を生み、1年後には合理化の影響もあって利益が上がってきたのです」。
グローバルなビジネスの現場や欧米人の流儀にも臆することなく、自分は向き合っていける——3年間の米国勤務で古川はマネジメントスキルを磨きながら、その自信を深めていった。

「銅のマーケットに、丸紅の古川あり」を目指す。


帰国後の古川を待っていたのは、当時丸紅が参画を決めていたチリ・アントコヤ銅鉱山投資プロジェクトの現場だった。そのフロントで、一部の契約交渉と社内稟議を担うのがミッションだ。古川にとっても投資案件は初めての現場であり、一度は経験したいステージでもあった。
「投資案件の経験がない自分がどうしたらプロジェクトに貢献できるか、最初は悩みました。しかし、悩み抜いた結果、今まで積上げた情報と知識をフル活用することで自分にもできることがあるはずだと確信しました。」古川は既存の情報を基に独自の考察を加え、世界の銅需給動向をまとめあげた。並行して、銅・亜鉛担当として磨いた知見もつぎ込み、銅地金買付契約の締結をアシスト。見事、プロジェクトの成立に貢献した。


2015年、アントコヤ銅鉱山プロジェクトは無事操業を開始。古川は再びトレードの世界に戻り契約交渉時から携わったプロジェクトから生産される銅地金トレードに挑んでいくことになった。つい最近もロンドンに飛び、各国のサプライヤー・客先との厳しい事前交渉に臨んだばかりだが、「プロジェクトを経験したことで得た中長期的な視点、すなわちマクロ的な知見や情報をトレードに活かすことで、優位なポジションを得ていく武器になっている」と語る。地道な販売活動の結果、アントコヤ銅鉱山で生産された銅地金は主にアジア各国で展開する日系企業に納められている。しかし古川はその先を見据え現在はミャンマー・アフリカの銅地金買付、更には次の新興マーケットとして期待されるインド向けの販売案件確立に注力。忙しい日々を送っている。

師と仰ぐ上司や先輩との出会い。「銅は100年後も世界の豊かさに大きく貢献する金属」といわれるビジネス。そこには丸紅だからこそ得られた機会があり、それを活かし切った古川の、打たれ強くめげない個の力がある。
「銅のマーケットに、丸紅の古川あり」。古川がそう認められる存在になるのは、遠い日のことではない。


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