Person

更なる高みを目指して
トップトレーダーから穀物戦略の参謀に

総合職
渡辺 俊作
生活産業グループ
生活産業グループ企画部 グループ企画課
取材時:穀物本部 業務室

米国でのトレーダー経験が 今の僕を作っている

入社以来16年間、ずっと穀物取引に関わってきた。トレーダーとして米国に4年、スイスに2年半駐在もした。
「好きなんです。穀物っていう業界と、トレーダーの仕事が。世界のあらゆる国や地域に関わる仕事だし、時代の変化にも敏感なビジネスだから、毎日が刺激的で本当におもしろい。それに、世界の人々に食糧を安定供給するという大切な目的がある。自分がその一端を担っていることは、誇りに思っています」
丸紅は半世紀以上前から、穀物取引を重要ビジネスと位置づけている。

1960年代後半、日本国内に貯蔵機能を持つグレーンセンターを建設し、国内供給網の構築に着手した。1970年代には、米国西海岸に穀物輸出用の港湾エレベーターを所有するコロンビア・グレイン社を設立、北米とアジアを結ぶルートを確立。1990年代に入ると、米国内で集荷用のカントリーエレベーターを購入。集荷から輸出船積、需要国への販売までを一貫して行う体制を整えてきた。
トウモロコシ、大豆の生産量が世界第1位である米国は、穀物ビジネスにおいて極めて重要だ。丸紅の米国子会社コロンビア・グレイン社に渡辺は29歳のときに出向。すぐにトップクラスで闘うトレーダーたちの洗礼を受けることになる。
「『今のトウモロコシ相場、君はどう見る?』。すぐに返事ができないと『話にならない。君と話してもムダ!』と相手にしてもらえない。若かろうが、経験が浅かろうが、プロのトレーダーとして失格というわけです。自分で考え、自分の意見を持つことの大切さを痛感しました」
トレーダーとして説得力ある意見を述べるためには、さまざまな知識やデータが必要となる。穀物ビジネスは、世界の天候や需給のバランスはもちろん、国際情勢や金融市場、為替相場など、あらゆる要素に左右される。膨大な基礎知識に加え「今、どこで何が起こっているか」を誰よりも早く、そして正しく把握していないと、熾烈な競争には勝てない。

「一般的な知識は猛勉強。専門的な知識や情報などは、詳しい人に頼る。信頼できる〝情報ソース〟が何人いるかは、トレーダーとしての財産です」
ビジネスであるからには、言葉の裏に駆け引きを伴う交渉も少なくない。
「相手に対するリスペクトを忘れない。嘘はつかない。どんな交渉ごとでも、この2つは必ず守ると決めています。一度信用をなくしたら、二度目はないですから」


穀物トレーダーにとって、コスト感覚は大切な能力

「他の商品に比べると、穀物の単純トレードって、利幅の大きいビジネスではないんです。買付価格や輸送コストなどを工夫して、10円、20円と積み上げたものが、最終的な利益に結びつく。常に相場感やコストマインドが求められる厳しい商品です」
だが、自分たちだけが得するようなやり方では、ビジネスは続かない。
「安く買う、というと聞こえが悪いですが、知恵と工夫で経費を減らせば、捻出したお金でいろいろなことができる。消費者に安く食糧を提供したり、生産農家への支払いを増やしたりもできる。食糧を安定供給するためには、コストをどう使うかという工夫が欠かせないんです」

参謀として思うこと「丸紅はもっと強くなれる」

現在、渡辺は東京本社の穀物本部業務室に所属している。丸紅の穀物事業全体の戦略立案を担当する、いわば参謀役だ。
「穀物市場全般をワールドワイドに見渡さなければならないので、トレーダーのときよりずっとマクロ的な視点が要求されます。例えば、我々は米国西海岸に穀物エレベーターを所有していますが、次のチャンスに繋がる重要拠点はどこか。一方、近年穀物輸出国として存在感を高めているブラジルやアルゼンチン、東欧諸国などを既存の販売網と結びつけるためには何をすべきかなども考えなければならない」
実際に丸紅は2011年、ブラジルに輸出エレベーター(Terlogs社)を保有。そして2013年、丸紅は全米に140を超える穀物集荷拠点を有するガビロン社を買収。
「ガビロンは米国内に強力な集荷網を持っています。一方、丸紅は海外のトレードや販売に強い。それぞれの強さをいかせば、世界戦略と米国内戦略、双方からシナジー効果を狙えるはず」
戦略担当へと立場が変わっても、トレード畑出身であることは忘れない。
「トレーダーとしての最前線の感覚は失いたくない。突然『現場へ出ろ』と言われたら、いつでも出られる準備はできています。気持ちの面でも、知識の面でも」

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