Person

人と違うことを誰よりも早く
だからこそ、勝ち続けられる

総合職
矢野 倫久
化学品本部 石油化学・合成樹脂部
オレフィン第一課

上位にいるときこそ、攻め続ける姿勢が大事

化学品本部に所属する矢野が手がけるのはオレフィンのトレードだ。
オレフィンとは、ナフサや天然ガスから生産されるエチレン、プロピレン、ブタジエンといった化学物質の総称。塗料やプラスチック製品、合成ゴムなどの工業製品に欠かせない素材だ。このオレフィントレードにおいて丸紅は、1990年代から世界シェア約30%というトップクラスを維持し続けている。
強さの秘密は組織力。オレフィンは常温では気体のため、マイナス104℃まで冷却して液化し、特殊な専用船での輸送が必要となる。
丸紅は何隻もの特殊専用船を常時チャーターし、グローバルな輸送網を構築。世界各地の供給元と需要元とを効率的に結びつけ、大きな成果をあげてきた。
7年前、矢野がオレフィントレードを担当するようになった時点でも、丸紅はすでに強固な地盤を築いていた。だが矢野は、担当した東南アジア地域の取り組みをより強化し、シェアのさらなる拡大に貢献したのだ。
「上位の座に安住したらダメ。顧客ニーズは日々変化する。常に攻めないと。ボヤボヤしていたら、すぐに陥落する」

「取引の本質」に気づいた、新人時代の強烈な体験

今では社内でも切れ者と評判の矢野だが、新人時代はずいぶん苦労した。
東京本社で合成繊維の三国間取引を担当していたときのことだ。中国の取引先が代金を支払わない。催促の連絡をしても、のらりくらりとかわされる。
「辛かったのは、社内でもめたこと。現地の営業担当は客の立場にも立たなきゃいけないから、意見が食い違う。東京の管理部門からは『まだ債権が回収できないのか』と怒られて」
電話口で激しく言い合う状態が何日も続いた。落ち込む矢野を見て、上司が命じたのが1カ月の中国出張だった。
「現地で目が覚めました。自分は取引の本質を何も理解できていなかった」
取引先の味方ばかりすると思っていた営業担当者は、口角泡を飛ばしながら債権回収にあたっていた。取引先が支払いを渋っていた理由も見えてきた。
「当時中国は過当競争気味で、客先が商社を選べる立場だったんです。支払いの滞りには『取引しているのに、丸紅はサービスがイマイチだ』というメッセージが込められていたんです」
人と人が関わる取引とは、ロジックだけじゃない。契約書や書類の数字を見るだけじゃ、本質はわからない——。
「人からお金をもらうってどういうことなのか、現実味をもって理解できるようになったのは、この中国出張のおかげ」



今日の勝者が明日の敗者に、なりうるのが競争の世界

中国で学んだことは、オレフィントレードの現場でいかされることとなる。
「ビジネスって結局は人と人。お金を稼ぐって『誰かを喜ばせた対価』じゃないかと。だとしたら、どうしたら相手に喜んでもらえるかを探る。それを人より先に提案して、実行すればいい」
競争の激しい世界だからこそ、ライバルの顧客を奪うこともある。
「今日勝っても、明日は負けるかもしれない。フェアに全力を出した結果ならそれでいい。競争ってそういうもの」
ビジネスではいたってクール。だがこの男、実は涙もろい。シンガポールを去るときも、仲間の前で涙を見せた。
「潰されてもおかしくない状況もあったのに、上司や先輩が僕を信じて我慢強く見守ってくれたから、思うように仕事ができた。もう感謝の想いがぐわーって込み上げてきて、号泣(笑)」
そんな愛すべき切れ者トレーダーは、きっと今日も試合に臨んでいる。

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