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大瀧 大祐

DAISUKE OTAKI

建機・産機・モビリティ本部
建設機械第二部
政治経済学部 | 2003年卒

30代
男性
社会産業・金融グループ
総合職

建機のトータルライフを支える
プロダクトサポート。

6000人対3人からの市場参入
勝算はどこに

「日立の建機がいちばん稼働している」
南米チリの鉱山で顧客の現場監督が機械を遠目にそう話した。その言葉に内心ガッツポーズを決めていたのは、当時日立建機製鉱山機械ディーラー「ZAMine Service(ザマイン サービス) Chile SpA.」の責任者であった大瀧大祐だ。
「建機の販売・サービスは、丸紅が数十年にわたり続けている事業。その経験とノウハウを活かし誕生したビジネスモデルが、『ZAMine Service』です。モンゴルを皮切りにペルー、コロンビアと続き、2014年にチリに参入しました」
大瀧は、当時をこう振り返る。
「市場には当然競合がいますが、問題はその規模の違いでした。世界最大の銅生産国であるチリでは競合先2社がともに大手で6000人規模であるのに対し、我々はわずか3人。つまり、6000対3から挑戦が始まったわけです」
「勝算はありました。世界的評判の高い日本製鉱山機械、ZAMine社の豊富なメンテナンス経験、チリでの丸紅の高いプレゼンス、そして私自身豪州駐在時に最先端の鉱山機械を扱った経験があったので」
ZAMine社の強みは購入後のメンテナンスを手厚く行う「プロダクトサポート機能」。販売力よりもサポート力で顧客に価値を提供する事業モデルだ。2、3時間の故障が即1万トン以上の生産遅延につながる鉱山運営において、過酷な現場の過酷な使用に耐え抜く機械はもちろん、コスト意識を持って予防的にメンテナンスを実施して高稼働性を提供することも、ストレートに価値とみなしてくれる。とはいえ、たったの3人からの市場参入。競合も大手なら顧客である鉱山会社も名だたる資源メジャー。交渉以前に、まともに話を聞いてもらえるまでに約1年を要した。その後も粘り強く提案を繰り返すも受注はなく、参入から2年以上が経過。参入継続を危ぶむ声もあったが、顧客課題の解決と事業性確保の両立を図る地道な営業活動を重ね、2016年7月、ついに受注を勝ち取ることになる。
「契約を交わした瞬間は、今でも忘れることができません。納入後も想定外のトラブルが頻発しタフな時期が続きましたが、納入から2年経っても高いパフォーマンスを維持し、お客さまから『日立の建機がいちばん稼働している』と言って頂いたときは、本当に胸が熱くなりましたね」

お客さまの存在が
やりがいであり原動力に

「当時の仕事をもう一度やれと言われたら、できる自信がありません(笑)」と話す大瀧に、ビジネスでの原動力となるものを尋ねてみた。
「お客さまへの責任。それに尽きると思います。数百トンにもなる建機は、それ自体が一つの工場のようなもの。動かなくなるようなことがあれば甚大な経済的損失を伴います。そんな中で今まで起用したことのない我々を選んでくれた人たちを、裏切るようなことがあってはいけない」
だからこそ、大瀧は“サービス=おもてなし”という生ぬるい表現を嫌う。時には正しくない建機の使い方やオペレーションに関してお客さまを怒ることもある。
「プロダクトサポートが最終的に提供すべきものは生産性の向上。ただのサプライヤーではなく、鉱山の生産効率を最大化することに寄与・参画することが我々の機能であるべきなんです」