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阿久津 あやか

AYAKA AKUTSU

財務部
商学部 | 2009年卒

30代
女性
コーポレートスタッフグループ
総合職

投資家と「対話」する
スペシャリスト。

複雑な総合商社の企業価値を
正しく理解してもらうには

上場企業に求められるもの。それは、利益を株主に還元し、市場に決算情報などの財務情報を開示することだけではない。
「非財務情報と呼ばれる将来の価値創造に向けた考えや取り組みも、丸紅の大切な価値。財務の視点にとどまらず、全社を俯瞰し、投資家を含めたステークホルダーに正しく丸紅の姿を伝える。それが私のミッションです」。財務部IR(Investor Relations)課の阿久津あやかはこう語る。
四半期ごとの決算説明では、投資家とのコミュニケーションの前面に立つ。実は、総合商社のビジネスは特に海外投資家からの理解を得られにくいことがある。
「総合商社のビジネスは、投資家から見るととても分かりづらいのです。コングロマリット・ディスカウントと呼ばれるのですが、多角的な事業を行っている場合、各事業の評価の積み上げと比較して、企業としての総合評価が下がってしまうケースがあります。だからこそ、総合商社ならではの強みを正しく理解いただくための“伝え方”には特にこだわっています」
すべてをありのままに伝えられれば、伝わるかもしれない。しかし、ビジネス戦略や進行中のプロジェクトなど公表できない情報もある。そのような中で、将来価値に目を向け、投資家に魅力的な企業だと感じてもらうことは決して簡単なことではない。
投資家の志向も変化するため、その時流を掴み、経営にフィードバックすることもIR業務の一つだ。
「最近では、投資判断においてもサステナビリティを重要視する気運が急激に高まっています。丸紅の経営陣も、環境課題や社会の要請を先取りし、丸紅グループならではのソリューションに取り組まなければならないと認識しています」

未来を見据えた
丸紅グループの変革を責任をもって伝えたい

2019年、丸紅は新たな中期経営戦略を発表。その内容を伝える統合報告書の作成を担当したのも阿久津だ。まさに、自身がこだわる“伝え方”が試されたミッションだった。
「統合報告書の編集方針は“未来を見据えた丸紅グループの変革を伝える”というもの。そのためにさまざまな仕掛けを考えました。たとえば、営業本部の紹介ページは、これまでトピックスや事業概要を伝えるだけでしたが、目指すビジョンとそれに向けた戦略まで盛り込めば、もっと意味のあるページになるかもしれない。このように、すべてのアプローチを見直していきました」 投資家を含めたステークホルダーの反応は、彼らとどれだけコンタクトが図れたか、その回数で如実に分かる。それは、阿久津の“伝え方”に対しての評価とも言える。
「幸いなことに、統合報告書のリリース以降、掲載内容に関する質問が多くなりました。最近の丸紅グループの動きは、投資家を含めたステークホルダーに非常に好意的に受け止められていると感じます。経営陣も営業本部も本気で変革に向かっているからこそ、責任をもってその挑戦を伝えていきたいと思っています」
「今後は、新しい価値創造を実現するためにも、社会が何を考え、丸紅に何を求めているのかを社内にフィードバックしながら、丸紅グループが何を考え、何に挑戦しているのかを社外に発信していきたいです」IR業務の新たな展開を構想する阿久津の姿があった。