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佐藤 優輔

YUSUKE SATO

金属本部
銅鉱山事業部
社会学部 | 2008年卒

30代
男性
素材産業グループ
総合職

地球の裏側チリ銅鉱山で、
現場の課題に取り組む。

入社5年目で過去最大規模の
鉱山プロジェクトの現場へ

地球の裏側、南米チリのアタカマ砂漠。2008年、丸紅はその砂漠にあるエスペランサ、エルテソロという2つの銅鉱山の権益の30%を取得した。金額はおよそ2000億円。丸紅としても、総合商社の鉱山への単独出資としても、過去最大規模の案件だった。その直後、佐藤優輔は非鉄金属部に配属され、その後の10年間を鉱山開発プロジェクトと共に駆け抜けてきた。
2008年の買収当時は何もなかった土地に巨大な採掘ピットとプラントができ、2014年には隣接する2鉱山が合併してセンチネラと名前を変え、契約社員も含め6000人の人が働く大きな会社へと発展した。しかしその過程は順調ではなかった。「銅鉱山開発は相手が地球なだけに、次々に新しい課題が発生します。建設段階での工期の遅延や設計変更、処理量の低下や生産計画の変更など、数えればきりがありません。掘る場所が変われば処理する鉱石も変わり、生産量もコストも利益も変わる。前例のない大規模鉱山の開発・操業で、発生した問題に対して一つひとつ最適な答えを見出して事業を進めてきました」
佐藤は入社6年目である2013年からチリへ赴任し、2015年からは現地鉱山会社へ出向。チリ人が大多数を占める社員の中、日本人は3名のみだった。「これ以上ない異文化体験でした。英語は通じず、すべてスペイン語。頼る相手もいない中、自らの力で鉱山会社の経営に貢献するアクションを起こす必要がありました」

チーム全員総入れ替え
危機的状況から始まった管理体制の再構築

相場商品である銅は、市場環境の影響をダイレクトに受ける。海外企業ならではのスピード感のあるリストラや人員整理も身をもって味わった。2016年には、所属する経営企画部の自分以外の社員が全員入れ替わり、勤務地も首都サンチャゴから鉱山現場に移転。飛行機と車を乗り継いで片道6時間かかる、アタカマ砂漠の真ん中にある採掘現場に常駐することになったのだ。
「経営企画部では毎月の予決算・役員会や社内会議の資料とりまとめを行うのですが、これらを全て残った自分一人で対応することになりました。当時出資先鉱山の合併によるシステム統合、会計システムの入れ替え、人員整理によって、社内の計数管理体制は再構築の必要に迫られていました。予決算や報告のKPI、フォーマットを新たに定め、社内のレビュー体制をゼロから構築し、現場の社員に浸透させていきました」
株主からの出向者である佐藤に対して当初は心を開いてくれない現場社員もいたが、生活・仕事の中でスペイン語を徐々に習得し、プライベートでもサッカーを通じて交流を図るなど、スタッフとの良好な関係性の構築にも力を注いだ。
「誰に対してもとにかく何が貢献できるかを考えて仕事をしていました。計数に明るくない社員とは、資料作成、計数管理を一緒にやっていく。必要に応じて他部署の会議にも顔を出し、上長への説明をサポートするなど、徹底して相手へのGiveを増やしました。そうして関係性を築いたAmigoたちとは今も会えばハグをする仲です」
2019年に帰国。その後もチリ銅鉱山のプロジェクトを本社側で管理する仕事に携わっている。鉱山の拡張案件の評価やファイナンス・オペレーション改善策の立案など、現場任せにせず東京からもハンズオンで鉱山の改善に取り組む。10年にわたりこの案件に取り組んできた経験を活かし、将来は、新たな案件を作り出したいと考えている。
地球の裏側の現場で自ら課題を見出し、仲間と共に解決に導いた手応えが、今の佐藤を支えている。