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高尾 篤史

ATSUSHI TAKAO

航空・船舶本部
航空宇宙・防衛事業部
経済学部 | 2016年卒

20代
男性
社会産業・金融グループ
総合職

民間ロケットが、
世界地図を変える。

旺盛な需要に応える
小型ロケットの開発を

2019年5月4日、ベンチャー企業インターステラテクノロジズ社(以下、IST社)の小型ロケット「MOMO」3号機が、民間単独のロケットとして国内で初めて高度100㎞の宇宙空間に到達した。これは世界的に見ても、ベンチャー企業としては4社目の快挙。その姿を地上から感慨深く見守っていた一人が、高尾篤史である。「1号機、2号機と打ち上げに失敗し、まさに背水の陣でした。成功が確認されたときは、感動のあまり涙がこぼれました」と高尾は当時を振り返る。
丸紅は2016年よりIST社との業務提携を開始し、国内外の顧客に対するロケット販売支援を行ってきた。今回打ち上げに成功した「MOMO」とは、どのようなロケットなのだろうか。
「新たな宇宙ビジネスの開拓に向け、世界中で小型衛星の打ち上げ需要が生まれています。しかし、高価格で投入軌道の柔軟性も低い既存の大型ロケットでは採算が合わず、高まる需要を満たせていません。IST社が開発した「MOMO」は、さまざまな観測機器を搭載し、高頻度、低価格での打ち上げを可能とする小型ロケット。スペックを必要最低限まで絞り込むことで、世界一の低価格を実現しているのも特徴です」
高尾たちの挑戦は始まったばかり。「MOMOは観測ロケットですが、我々が目指すのは人工衛星搭載ロケット※(名称・ZERO)。MOMOで技術の実証を重ねて、ZEROにつなげていきたいと思っています」。ZEROの打ち上げ目標は2023年だ。

※人工衛星を地球周回軌道に投入するロケットのこと

世界中の産業の期待を背負う、
人工衛星搭載ロケット「ZERO」の開発

MOMOの成功を機にZEROの開発を加速させ、商業化を目指す。その実現に向けて、高尾が担っている役割は大きい。
「ロケットの世界では、打ち上げの2年前に契約を結ぶのが一般的。高まる小型衛星打ち上げ需要を逃さないために、あらゆる衛星事業者に対して営業活動を行っています。同時に、現在進めているロケット開発を円滑に進捗させることも私の重要な役割の一つ。資金調達と人財の確保は、IST社にとっての大きな課題で、国や自治体の助成金プログラムの活用をはじめ、クラウドファンディング、広告収入など、資金調達に奔走しています。潤沢な資金と優秀な人財の確保は表裏一体なのです」
ZEROの打ち上げが成功し、小型衛星関連ビジネスが本格化すると、世界中にどのような変化が生まれるのだろうか。
「小型衛星が捉えるさまざまな画像データは、あらゆる産業での活用が期待できます。資源、エネルギー、インフラ開発といった分野はもちろん、たとえば漁場予測、あるいはパイプラインや水道管の漏れ予測も可能になるなど、多方面にビジネスチャンスが広がるでしょう」
世界的にも宇宙産業は黎明期。もちろん不安材料は多いが、誰にとっても未知のフィールドに足を踏み入れていることに、好奇心旺盛な高尾は刺激を感じている。IST社の仲間と共に、自分の手で新たなビジネスを作り上げていくことに、ワクワクしているという。