カナダNo.1コーヒーチェーン
の東南アジア展開
次世代ビジネス分野
東南アジアで高まるコーヒー需要を捉え、丸紅はカナダでシェア70%を占めるコーヒーチェーン「Tim Hortons」の東南アジア3か国(シンガポール、マレーシア、インドネシア)における独占フランチャイズ事業を開始。新たな成長の柱として消費者向けビジネスの足掛かりとなる本事業では、現地人材の雇用からローカライズを意識した店舗とメニューの開発、サプライチェーンの構築までゼロからの立ち上げに挑戦。2023年11月に開店したシンガポール1号店を皮切りに、10年で数百店舗の出店を目指す。

Tim Hortonsブランドを東南アジアで育て、
丸紅の消費者向けビジネスを次のステージへ。
課題点
Challenge
- カナダのNo1ブランドの、シンガポール、マレーシア、インドネシアでの初出店を通じ、新しい成長機会を切り拓く挑戦
- 消費者事業ならではの多様な反応を学び、想定外の結果を次の成長の機会に変える
- 地道に仮説と検証を繰り返し、現地に適したビジネスモデルを磨き上げる
- 国や地域の嗜好に寄り添った商品・サービスを展開し、多様なお客様から選ばれるブランドへ
- 成長領域ゆえに競争の激しいコーヒーショップ市場において、ポジショニングを磨き込む
ソリューション
Solution
- 消費者行動や販売データの分析を通じ、商品・オペレーション改善につなげる仕組みを構築
- ローカルの文化・嗜好を取り込む経営アプローチで、持続的な市場浸透を目指す
- カナダNo1ブランドという信頼性に加え、独自のメニュー開発・サービス体験を通じて競争優位性を確立
プロジェクトの進捗・今後の展望
Project Progress
and Future Outlook
2023年11月にシンガポールに1号店を開店し、現在は13店舗を展開。2024年8月にはマレーシアにも進出し、7店舗の運営を開始するなど、順調な滑り出しをみせている。出店と並行してブランドビルディングにも注力。知名度の向上および競合との差別化を進め、アジアで選ばれるブランドとしての成長を図る。中長期的には、丸紅におけるフード&ビバレッジ分野での成功モデルとしてノウハウを他案件に展開するほか、他事業とのシナジー創出も目指す。


次世代コーポレートディベロップメント部門
MGCA Cafe Pte. Ltd.出向
2016年 / 環境科学部
佐々木 拓海
「目指すのは経営のプロ。事業の成長とともにキャリアを築く」
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Q1.担当業務・仕事のやりがいや面白さ
入社後に6年ほどインフラ関連の事業部門に所属していましたが、消費者関連ビジネスへの興味、また事業経営の経験を深めていきたいと思い、社内制度を活用して2022年に次世代コーポレートディベロップメント部門(以下、次世代CD部門)に異動しました。
2024年からTim Hortonsを運営するMGCA Cafe社に出向し、シンガポールで店舗運営を間近にみながら、ファイナンス面を中心に、店舗開発、マーケティングなど幅広い領域に関して経営を支援しています。
消費者を相手にするビジネスなので、仮説通りに進まないことも多いのですが、試行錯誤して生み出した施策を実装するとすぐに反応が返ってくるのは新鮮です。具体的には、視察した店舗でより多くのお客さまに座っていただけるよう、テーブルの配置を微調整しただけで1日の売上が伸びたこともありました。細かな改善が数字に直結するのは、消費者向けビジネスならではの醍醐味だと感じています。 -
Q2.プロジェクトの課題
現在、シンガポールおよびマレーシアでのTim Hortons事業は、ブランドをしっかりと築き上げることと競合との差別化を図ることに注力しています。店舗数の拡大や広告費用の投下で事業を拡大しつつ、数あるコーヒーショップのなかでなぜ顧客がTim Hortonsを選ぶのかという理由づくりが重要です。そのために、カナダ本国で評価されているコーヒーとドーナツを主軸に、東南アジアでの経験が豊富なシェフを起用し、食文化の異なるアジアならではのフードメニューの商品開発に取り組んだりしています。
経営については、これまでの投資家の立場とは異なり、現場の数字分析からアクションプランの実行・検証まで一貫して関わることが求められています。筋道を立てるだけでなく、計画の実装まで行うことで初めて結果が数字にあらわれ、実装のためには現場と密なコミュニケーションをとる必要があります。出向から1年が経った現在も、その難しさと葛藤する日々です。 -
Q3.丸紅ならではのソリューション
東南アジアのコーヒーショップ市場は成長領域ゆえに競争が非常に激しく、またTim Hortonsの初出店ということでブランドを築き上げていく必要がありますが、シンガポールでは1号店の開店初日にTim Hortonsの歴代売上記録を塗り替えるという好スタートを切りました。その後も、週末やランチタイムを中心にさまざまなシーンで満席の状態が続いています。これは、出店場所の選定やメニューの現地化を含むマーケティング、質の高いオペレーションを担う各分野のプロフェッショナルを集めたMGCA Cafe社の経験豊富かつ自由闊達な経営チームがあってこそ実現できたことです。そして、こうした人材を確保できた背景には、丸紅のネットワークや知見があると考えています。
経営方針や組織運営については、月に一度の経営会議を通じて丸紅本社と密に連携しながら進めており、良いニュースも悪いニュースも含めてオープンに議論できる体制を構築しています。また、新家さんを中心とした東京側の担当チームとは毎週のミーティングの機会を設けており、関係者が東京のコーヒーショップを訪れアイデアを持ち寄るなど、現場の課題について活発な議論を行っています。こうした、事業をチームでサポートし、メンバーのモチベーションを高める文化にいつも活力をもらっています。 -
Q4.丸紅で働く魅力
丸紅には、社員が自らキャリアパスを選びとれる環境が整っており、魅力的に感じています。私自身も、人事制度を活用して次世代CD部門に異動しましたが、部門内でも投資・M&Aのフロント業務やミドルオフィスでの投資管理、または投資先の事業経営という選択肢から、個々人の希望・適性に応じてキャリアを構築することができます。
私は投資先の事業経営を希望し、駐在の機会をいただきました。経営人材として成長すべく必要な経験を積んでいるという実感のもと、日々の業務に臨むことができています。一方で、当然ですが業界ごとにプロとしての知見が求められますし、確実に成果を生み出す必要があります。経営人材としてのプロフェッショナリティとフード&ビバレッジの領域で専門性を高め、丸紅・部門の価値向上に貢献したいと考えています。

次世代コーポレートディベロップメント部門
投資マネジメント部
2009年入社 政策科学部卒
新家 あゆ美
「初めての消費者向けビジネスで、事業と人を育てる」
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Q1.担当業務・仕事のやりがいや面白さ
次世代コーポレートディベロップメント部門(以下、次世代CD部門)で、事業会社の管理を行う投資マネジメント部の部長代理兼第一課の課長を務めています。「2030年までに丸紅の新たな成長の柱となるビジネスを創る」という部門のミッションのもと、Tim Hortonsのプロジェクトだけでなく、ベトナムの食品関連企業、インドネシアのメディカル関連企業など事業会社のアセットマネジメント業務をしています。具体的な業務内容としては、投資実行時の戦略整理やPMI支援、ガバナンス実装や計数管理などが挙げられます。
Tim Hortons事業は、2022年の立ち上げ以降、新しい発見ばかりです。お客さまの嗜好や行動は、必ずしもこちらの思い通りにはいきませんが、同時に、何か改善を加えると数字にきちんと跳ね返ってくる。そんなBtoC事業の醍醐味と、東南アジアならではの成長パワーを感じられるエキサイティングなプロジェクトです。 -
Q2.プロジェクトの課題
消費者ビジネスの難しさと面白さは、いくら事前調査や議論をしても、人の行動は完全には予測できないというところにあると思っています。そのため、お客様の行動や計数に現れる結果をもとに学び続けるという根気強さが必要な領域です。丸紅のTim Hortons事業は、これまで進出していなかった東南アジアの国々に1店舗目から店舗開発を行うというものなので、メニュー開発や価格設定、ブランドビルディングなど、様々な観点で新しく考えていかなければなりませんでした。東南アジアのお客さまにアピールするには、「お客さまが求めるものは何なのか」を常に考え、チューニングし、その時々に求められる商品や価格、ブランディングをこれからも考え続けなければいけないと思っています。
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Q3.丸紅ならではのソリューション
丸紅には対話を重視する企業文化があると思っています。Tim Hortonsの事業に関しても「正直にオープンマインドで話す」ということが重要だと思っており、曖昧な言葉ではなく、伝えるべきことをしっかりと伝えるように心がけています。この関係性があるからこそ、同じ方向を向き、最善の施策を考え、結果を協議するというプロセスが成り立つわけです。このおかげで細かな施策に対しても、どれが成功し、どれが成果を生めなかったのか、正しく把握し、改善できるようになっています。
丸紅は、幅広い領域において様々なかかわり方で事業をおこなっていますが、コーヒー事業でも大型のインフラ事業でも、運営のなかでおこったトラブルや成功体験を現地と話し合うことがとても大切です。また、そうして見出された課題に対して、柔軟かつ迅速に対応できることも当社の強みの一つです。様々な事業を行う当社では、分野ごとに求められる対応やスキルは多岐にわたりますが、物事を正面から捉えて議論できる風土や、柔軟かつ迅速に課題へ対応する姿勢は、企業文化として自然と根付いていると思っています。 -
Q4.丸紅で働く魅力
丸紅で働く魅力は、若手であってもフロント業務や経営支援など、幅広い領域で挑戦のチャンスがもらえるところにあると思います。実際に、現地に駐在している佐々木さんは数字の管理だけでなく、店舗運営の提案や実行支援まで幅広く担当されていて、非常に頼もしい存在に成長しています。丸紅では、多様な事業分野と地域を経験するなかで、自らの視点を常にアップデートしながら自分にあったキャリアを切り拓いている若手が多いですし、そのような若手の成長を考えて指導する姿勢が丸紅全体にあると思います。自分に何ができるのかを常に考えなければならないという難しさはありますが、「やりたい!」と手を挙げたことを受け入れてくれる懐の深さがあり、それが日々の仕事の面白さを育んでいると感じています。