グローバルなコーヒーサプライ
チェーンの構築

食料分野

丸紅のコーヒー生豆の取扱量は年間約15万トン。日本における消費量の約30%を占めるトップシェアだ。BtoB向けのインスタントコーヒーは世界の流通量のおよそ10%、約4万トンを取り扱う。高いシェアを獲得する一方、その安定供給に対するハードルは高い。気候変動や地政学的な要因により流通量や金額、品質が日々変動。そして、環境やSDGsへの配慮なども求められる。そうした障壁を世界中の拠点にいる仲間とともに乗り越えながら、次なる一手を追う。

国内トップシェアを誇るコーヒー事業が、
グローバルチームでさらなる高みを目指す。

課題点

Challenge

  • 気候変動などの要因で安定しないコーヒー生豆の安定供給
  • 生産過程における環境やSDGsへの対応要請
  • インスタントコーヒーの加工拠点における経営課題
  • 海外の加工工場及び生産地における不測の事態の発生
  • 生産地におけるコーヒーの品質のばらつき

ソリューション

Solution

  • 生産地に組成したチームとのタイムリーな情報共有
  • 長年の取引を背景とした信頼度の高いネットワーク
  • インスタントコーヒーの加工における独自技術と人材
  • グループ内、拠点間の連携を背景とした強固な体制
  • 日本最大のコーヒートレーダーというプレゼンスと影響力

プロジェクトの進捗・今後の展望

Project Progress
and Future Outlook

長い年月をかけて育んできたコーヒー事業は、日本最大の規模に成長。ブラジルとベトナムという主要生産国におけるインスタントコーヒー工場の運営を追い風に、世界のコーヒー業界におけるプレゼンスを今後も高めていく。
独自の技術やノウハウ、情報網を活かし、BtoBだけでなく消費者の手にわたる手前の段階まで事業を拡大させる構想も。加えて、気候変動により減産傾向にあるコーヒーの代替となる新たな選択肢も模索。コーヒー業界の転換期とも言える今、次世代に向けた取り組みを進めていく。

食料・アグリ部門 飲料原料部
1996年入社 経済学部卒

石原 嘉人

「“BtoBインスタントコーヒー市場で世界一”に向けた挑戦」

  1. Q1.担当業務・仕事のやりがいや面白さ

    20年以上コーヒービジネスに携わっています。現在は部全体を見る立場ですが、「BtoBインスタントコーヒー市場で世界一を目指す」という目標をもっています。
    丸紅のコーヒートレードは2010年までに業界三番手から国内トップシェアに成長。一方、イグアスブラジル社は長い間、丸紅のコーヒー事業の中核子会社として安定した経営を続けていましたが、2010年代に子会社を原因とした経営難を迎えます。丸紅社内からは当然厳しい意見が多かったのですが、イグアスブラジル社で働く方々は真摯に、粘り強く、厳しい状況に対応していました。その姿に心を打たれたことを覚えています。その後、同社を完全子会社とし、コアビジネスに集中することで難局を乗り越えました。現在ではイグアスブラジル社を更に発展させつつ、ベトナムにも工場を新設し、インスタントコーヒー事業を拡大させています。
    取扱量日本一のコーヒー生豆に続き、インスタントコーヒーでは世界一を目指したい。そんな思いを持って、日々の業務に臨んでいます。

  2. Q2.プロジェクトの課題

    BtoBインスタントコーヒーの市場は年々、競争が激化しています。世界のプレイヤーたちの集約が進み、メーカーが巨大化。特にアジアでは新興のメーカーが躍進しています。
    もう一つの課題は、エリアにおける嗜好の違いです。例えばイグアスベトナム社の主要市場のアジアでは、コーヒーに雑味も求められます。洗練された上品な味ではなく、あえてクセのある風味の強い豆をブレンドする必要があるんです。これには驚きましたが、丸紅のコーヒー生豆ネットワークで適切な原料を見つけながら、イグアスブラジル社の技術者と連携し、求められる味をつくり出しています。
    世界情勢からの影響を受けやすいことも、課題の一つです。調達だけではなく、販売を中止せざるを得ない状況も実際に起きています。調達と販売の双方について、常に複数の選択肢を持っておくことも非常に重要です。

  3. Q3.丸紅ならではのソリューション

    コーヒー事業における丸紅の強さは、ひとえに「オール丸紅のグローバルチーム」にあると考えています。
    特に、イグアスブラジル社は心強い存在です。ともに困難を乗り越えてきた経緯もあり、さまざまな課題に主体的に取り組んでくれています。イグアスベトナム社の工場稼働後、想定外の対応が必要になったときには、ブラジルの技術者8名が長期出張に快く応じてくれ、課題の解決だけでなく現地工員の教育まで実施してくれました。
    ベトナム工場の建設は2019年に開始したのですが、コロナ禍で制約があるなか、丸紅の駐在員や建設の委託先である丸紅プロテックスの方々が工場に寝泊まりしながら進行し、予定通り竣工させてくれました。世界情勢の変化でロシアへの販売を停止した際には、欧州・米国向けの販売を担うパンフーズが、新たにイグアスベトナム社製品の販路を拡大。世界各地の仲間と連携して課題を乗り越えていけるのは、大きな強みです。

  4. Q4.丸紅で働く魅力

    コーヒートレード事業において、丸紅は今や世界でもトップレベルのプレイヤーです。有力なネットワークから情報を得られるだけでなく、信頼できる取引先と将来性のあるビジネスを築き、明確な戦略を立てられる。そうした事業基盤があるからこそ、自分自身のキャリアプランを考え、経験を積み、成長していくことができると考えています。もちろんその成長機会を自らつかんで努力することが大前提ではありますが、それができる環境は整えられていると言えるでしょう。私も先輩方が築かれてきたこの土台をしっかりと守り、次世代へバトンを渡せるよう、新たなチャレンジにも積極的に挑んでいきたいと思います。まずは「丸紅のBtoBインスタントコーヒー事業を世界一」にする。これを成し遂げ、これまでともに歩んできたいろんな国の仲間と「世界一の景色」をわかち合いたいですね。

食料・アグリ部門 飲料原料部
2021年入社 国際文化学部卒

板坂 彩夏

「生産地とお客さまに真摯に向き合い、解決策を見つける」

  1. Q1.担当業務・仕事のやりがいや面白さ

    コーヒー生豆を扱うチームで、ベトナムを中心とした買い付けが担当業務です。毎日ホーチミンにいるチームと連絡をとり、産地の状況をヒアリングして買い時を見極めて仕入れることで、良質なコーヒー生豆を安定してお客さまにお届けする。簡単に聞こえるかもしれませんが、コーヒー生豆は常にさまざまな要因で価格や品質、流通量が変動しているので、仕入れの判断が難しいんです。品質に対する認識もサプライヤーによって異なるため、その統一を図る必要もあります。さまざまなトラブルをチームで乗り越えたときの達成感は大きいですし、お客さまから「丸紅さんから買っておけば間違いない」と言っていただけることが何より嬉しいです。
    海外出張も個人的なやりがいの一つです。インドネシアやコロンビア、パプアニューギニアにも視察に行きました。コロナ禍のあとは、一年の1/4くらいを海外で過ごしているような生活を送っています。

  2. Q2.プロジェクトの課題

    お客さまからご期待いただくのは、何よりもまずは安定した供給です。生産者の生産計画や状況を把握して、求められた品種・品質のコーヒーを必ず買い付けられる状況をつくり出すことが最優先。お客さまの製造を止めないために、責任感、使命感を持って日々買い付けを実施してます。実際にお客さまから緊急でベトナム産生豆が必要になったという問い合わせをいただいた際にも、在庫を保有していたため、ご案内することができました。
    また、担当しているベトナムは、生産量は多い一方で品質が不安定。嗜好の違いから、ベトナムでは良しとされる味でも、日本で求められる品質に達していないことが多いんです。まずは品質の目線を合わせて、そこに達するよう指導し、管理していく必要があります。
    ただ、どんなに対策をしていても気候変動や災害により、ベトナムから必要数量の買い付けができない状況になる可能性はあり、常に複数の選択肢を用意しておくことも重要です。

  3. Q3.丸紅ならではのソリューション

    安定供給については、毎朝実施されるミーティング及び生産地のナショナルスタッフとの密なコミュニケーションが重要な解決策の一つです。数年前には、ナショナルスタッフを東京に集めた情報交換会も開催しました。それを機に、ナショナルスタッフ間での情報交換が活発になり、何か問題が発生した際の迅速な代替案の提案やリスク回避に繋がり、安定供給のベースとなっています。
    品質に関して、ベトナムでは生産現場に品質管理の担当者を常駐させていて、現場から直接、品質や生産状況が報告されています。加えて、定期的に本社から私のような担当者が視察に行き、現地で一緒にカッピングしてフィードバックもしています。船積前と入港後の豆もカッピングし、品質を確認することも丸紅では当たり前の文化です。このように確立された品質管理方法も、信頼いただける一因だと思います。

    ※ コーヒーの香りや味を評価するためのテイスティング手法。

  4. Q4.丸紅で働く魅力

    「実際に挑戦できる」環境を魅力に感じています。先輩方もおっしゃっていることではあると思いますが、入社半年で起きたトラブルを最後まで対応させてもらえたことで、それを体感しました。どうしたらいいかわからないながら、実際に原因となった産地に行ってサプライヤーと直接話をし、原因を究明。最終的な対応に落とし込むところまで、責任を持って対応させてもらうという経験をしました。大きなトラブルでしたが、責任感を持って取り組めば、周りも協力してくれて乗り越えていけるということを実感しました。
    この経験があったからこそ、日々起こるトラブルに対しても、真摯に対応することで何かしらの解決策が見つかり、乗り越えられると思えるようになりました。幸いにも、今もお客さまから「丸紅さんから買いたい」とおっしゃっていただける存在であり続けられています。恵まれた環境で、これからも全力で日々の業務に臨みたいと思います。

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